専門コラム 第267話 ライティングの新しいチカラ
先回上げた記事[1]は読んでいただけたでしょうか。
「新しい時代」になっても大事なことは、これまでと大きく変わるところはありません。要は「書くこと」、そして相変わらずコピーライティングが重要なテーマとなります。
このことは、おそらくこの先も変わらないと思います。
それはなぜか?
繰り返すようですが、時代が移り変わっても、人の本質は変わらないからです。
ただ注意したいことは、私たちが扱う「筆のチカラ(コピーライティングスキル)」が、メルマガやニュースレターといった従来型のクローズド・メディアを介したものなら問題はありません。
しかしSNSなどのオープンメディアを使ったときは、どうしても一手間余計に掛かかります。
これについては前の記事でも紹介した木坂健宣氏が、期間限定の動画の中で明らかにしています。しかし残念ですが、動画自体がもうありません。そこで記憶が確かなうちに、コラムにしてしまおうと思います。
まあ、普通に考えて、営業マンがSNSでメッセージを届けているケースは少数派です。そこで、ここでは使うメディアの差異を押さえる。それだけで十分ではないでしょうか――かえってネットユーザーじゃなく、皆さんのような営業マンのほうが、この事をよく知っていると思います。 それでは動画での、木坂氏の説明を追っていきます。
[1] 『「新しい時代」の営業に必要なこと』(専門コラム 第266話 2023.4.3投稿)
ライティングの新しいチカラ
1 トークセッションでの「最初の壁」とは一体何?
先回も言ったとおり、この動画はビジネス仲間の和佐氏の商材リリースによって設けられたもの。そしていつものように、和佐君から木坂さんへの質問で、トークセッションがスタートしていきます。
和佐:「……、そこで木坂さんに質問なのですが、以前15年前にコピーライティングの商材を出した頃といまでは、環境を含めて様々なことが変わっています。このような変化について、どのような感想をお持ちか聞かせて下さい」
木坂:「15年前と今とでは、かなり環境は変わっているけれど、僕のコピーライティングメソッドって、人間の心理というものを普遍的に語ったものが中心だったと思う。そういう点では何ら変わらずあのメソッドは使えるのだ思う。
ただ注意しないといけないのは、メールが主流だった時代とはちがい、SNSなどオープンなメディアは、読者も偶然出くわしたケースがある。それを一旦読むという、メールのようなモチベーションはあまり考えられないよね」
和佐:「つまり、読まない壁、信じない壁、行動しない壁の他に、越えなければいけない“何らかの壁”があると――」
木坂:「そう。僕はその壁のことを、“興味を持たれない壁”とか、また“開かれない壁”とかって呼んでいる(笑)――」
注)リード文に出ていた、「どうしても一手間余計に掛かかります」と言うのが、
「興味を持たれない壁」、あるいはページを「開かれない壁」ということです。 木坂:「人々の行動パターンには、特有なものが時代によってあるから、そいういものに合わせていければ何一つ難しいものはない。DRMの原理原則はそのまま使えるんだよ。
ただSNSなどオープンなメディアを使う場合は、いまの時代にモディファイしないと使えないと言うだけ。
それで僕は言うんだけれど、商品というより、あなたが世間にニーズがないの。だから、あなたのニーズをまず高めるべきなのね。
そうすることで、おのずと興味を持たれない、開かれないという最初の壁は越えられるから――」
2 伝わらないのは、あなたがお客様の「無関心」の壁を突破できていないから!
これは先回のコラムでも出てきたことですが、大事なことなので重ねて言いますね。
SNSなどのオープンメディアを介してメッセージを送っても、相手に伝わりにくいのは、「あなたが世間にニーズがない」から。
もちろん書いているのが有名芸能人やお笑いの人だと、大前提として「世間的にニーズが備わった人」がメッセージを発信している。
それゆえ、そのメッセージは届きやすい。
だけど我々一般人がSNSを使っても、殆どの場合、あなたには「世間的にニーズ」が備わってはいない。それで「興味を持たれない壁」、またはページを「開かれない壁」ができてしまうってこと。
むかしメルマガやニューズレターが主流の頃は、何かを売る前に、まず書く本人の人間性を伝えられた。それが無くなったから「今の時代にモディファイしないと」コピーライティングスキルやDRMが使い難くなる。
もちろんFacebookみたいに、プライベートなメッセージも届けられるツールもあるから、SNS自体が全く使えないわけではありません。
ただSNSを使っても・使わなくても、大事なのは「あなたのニーズを高める」ってことは変わりません――ということは、SNSで「あなたのニーズを高める」ことができれば、それでもOKだと言うこと。
そしてこのことは、別に新しいことではありません。
ニュースレターの解説でも「本文も大事だけど、出だしの掴みや編集後記で、どれだけ自分のプライバシーを伝えられるか」の大事さは、このコラムで再三書いています。そしてどの媒体を使おうと、相手に自分がどういう人間なのか伝えることは、我々セールスの基本です。
初めは興味がなくても、そういう人が熱く語るカメラだから、徐々にカメラが欲しくなるの。なぜって、これが人間の変わらぬ特性だから。 情報量が一定の量が超えたとき、人は誰かに依存したくなる。そして、出来ることなら「なるべく信頼できる人を探す」というのが人の常なんです。
3 「MSP(Me Selling Proposition)」とは?
なかには「人間性より商品の品質のほうが絶対大事」と譲らない方もいるでしょう。
ただこのコラムでも繰り返し伝えているので、もう出典は挙げませんが、米国でも「“品質”は“好意”を上回る」と、調査の結果を伝えています。
例外は、二者択一で迷っている場合(たとえば「青汁」のような商品)か、商品の緊急性が高い場合(たとえば医療ニーズ、水道の詰まりや水漏れ工事など)かのどれかです。
しかしこれからは違います。「“好意”が“品質”を上回る」のです。
相手が営業マンであってもなくても、特定の分野で信頼ができる者から人は買いたいと考えるのです(このトークセッションの中で、例として「食べログ」を上げていました)。
そしてそのとき大事になるのは、その人が伝える価値観や世界観なのだと――。
このことを新しい用語で「MSP(Me Selling Proposition)」と言うそうです。
でもこの言葉も、昔から言われていることです。
木坂氏の15年前のコピーライティングメソッドでも、「教育」のことを、確か「価値観への共感」という言い方で表現していました。その意味では、コピーライティングそのものが「MSP」ということになります。
つまりコピーライティングとは、ただの文章術ではありません。
相手に伝えるストーリーをどれだけ沢山持っているか。それがコピーライティングの真実です。
そして読者はそのストーリーに魅かれ、あなたの見込み客が本当の顧客へと変わっていきます。 あなたなら、きっと素敵なストーリーが紡げるはず。
皆さまの健闘を、陰なら応援しています。
記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇
弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。
営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。
また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。