専門コラム 第247話 ニュースレターに備わる「教育」という役割について
前回は「自身のニュースレターに対する向かい方」をテーマに、コラムを書きました。
そして、大体のお約束は果たせたのではと思います。
ただせっかくここまで書いたのなら、ニュースレターが本来持つ「教育」という役目についても言及しておこうと思いました。
もちろん教育については前回も書いていますが、ここ(前回で言えばチャプター 2 )を長くすると、コラム自体のバランスを崩すことになります。
そこで続編として、ニュースレターと教育について、ごく簡単に自身の考えを述べておきます。 多少ややこしい箇所もありますが……どうぞお付き合いください。
ニュースレターに備わる「教育」という役割について
1 『セールス・チャレンジャー・モデル』に描かれた「理想の営業像」とは?
ニュースレターと教育について語る前に、以前、営業関連で話題となった本があります。
覚えている方もいるかもしれませんが、マシュー・ディクソン&ブレント・アダムソンらの共著、『セールス・チャレンジャー・モデル 成約に直結させる「指導」「適応」「支配」』(海と月社)です。
わけがあって筆者は完読できていませんが、本の概略は、BtoB セールスにおいて、セールスパーソンを 5 つのタイプに分けたところ、これまでの認識とは違った営業マン像が浮かび上がってきたという内容です。
何故この本を引っ張り出したかというと、ニュースレターと教育に関係するからです。
- 本で示す、セールスパーソンの 5 つのタイプとは、
- ハードワーカー(勤勉タイプ)
- チャレンジャー(論客タイプ)
- リレーションシップ・ビルダー(関係構築タイプ)
- ローンウルフ(一匹狼タイプ)
- リアクティブ・プロブレムソルバー(受動的な問題解決タイプ)
です。
この中で最も成績を出す営業マンは、3.のリレーションシップ・ビルダー(関係構築タイプ)と思いきや、実は 2.のチャレンジャー(論客タイプ)が、いちばんのハイパフォーマーだったのです。
チャレンジャーというセールスタイプをひとことで言い表すと、日本ではかつて「コンサルティング・セールス」というスタイルが脚光を浴び時期があります。強いて言うなら「コンサルティングセールス」が、いちばん近いニュアンスではないでしょうか。
それプラス、チャレンジャーは別名「論客タイプ」というぐらい、チーム内では論客でとおっており、「論議を呼びそうな見解であっても臆することなく披露する」タイプ。ただ日本でいうところの論客とのいちばんの違いは、彼らが「好戦的なわけでも、しつこいわけでもない」こと。
ただ彼らの手にかかると、周りの人は複雑な問題について、別の角度から検討せざるを得なくなるのだ。
『セールス・チャレンジャー・モデル 成約に直結させる「指導」「適応」「支配」』より抜粋
つまりチャレンジャー・モデルとは、売ることだけに終始せず、顧客を独自の視点で気付かせてあげる、指導また教育できるコンサルタントのようなセールスです。
これって、何かに似ていると思いませんか?
そうです。私たちもニュースレターで常に顧客を教育しています。
それゆえ、私たちが進めているニュースレター営業も、これからセールスの現場で力を奮うとみられるチャレンジャータイプに近い存在と言えます。
実際、チャレンジャー・モデルは、コンサルタントの如くセミナーなどを設けて「論客ぶり」を発揮することもあります。同様に私達もレターという枠を飛び越え、セミナーを活用し顧客に教育を施すことは十分可能でしょう。
セミナーに必要な原稿などのスピーチ・ライティングは、日常的に行われているレターライティングで慣れている方も多いでしょう。またどういう書き方をすると良く伝わるかも、セールスライティングやダイレクト・レスポンス・マーケティングを勉強していれば理解も早いはず。 唯一の違いと言えば、チャレンジャーが持つ「論客ぶり」です。
ただ先ほども記したとおり、彼らは決して「好戦的なわけでも、しつこいわけでも」ありません。誰かを論破することに、喜びを見出しているわけではないということです。
2 ニュースレターには教育という役目が欠かせない!
さて、『セールス・チャレンジャー・モデル』という書籍と、ニュースレターにおける教育について関連性を見たわけですが、チャレンジャー・モデルの営業マンが持つ「顧客に独自の視点を提供する」資質(教育、指導)は、ほかの 4 タイプにはほとんど認めらません。
なかでも関係構築タイプに分類されるリレーションシップ・ビルダーの営業マンに対し、上司は「お客様との関係を深めてこい」とか、「お客様をハグしてこい」などと発破を掛けて彼等を営業に送り出します。
悲しいかな、このような姿は、我が国でも当たり前のように見られる光景です。それを思うと、ニュースレターの活用がなかなか浸透していかない営業風土を、半ば止むを得ないことではと考えさせられます。
ただその分(余計に)、ダイレクト・マーケティングの大きな特徴であり、最大の武器ともいえるニュースレター、この小さな媒体が持つ教育という役割が、ますます重要性を帯びてきます。
『セールス・チャレンジャー・モデル』にはこのような一節があります。
わが社の製品を買ってください。そしていままでに買ったほかの製品といっしょに棚に並べてください、とお願いするのとわけが違う。むしろ、顧客に行動を変えてもらわなければならない。いままでのやり方をやめて、別の方法で動いてほしいとお願いするようなものだ。そうしてもらうためには、ビジネスの新しい見方を顧客に提示し、自分たちのビジネスについて違う発想をしてもらわなければならない。その点からいえば、複雑さを増すこの世界で、あるタイプだけが断トツの営業成績を収めるのも当たり前なのかもしれない。
『セールス・チャレンジャー・モデル 成約に直結させる「指導」「適応」「支配」』より抜粋
そして我々ができることと言えば、専門性を高める意味で「知識の仕入れ」を忘れないことでしょうか。
人が生きている限り奪うことができないものがある。それは知識である。 財産や肩書などは無くなってしまうものだけれど、一旦手にした知識は誰にも奪われない。だから知識を身につけよう。
『ユダヤの教えでも語られる「知識」「知性」の尊さ(2023.1.1投稿済み)』より抜粋
3 嬉しいお知らせ!
さて、話題の書籍との関連性やダイレクト・マーケティングの歴史から、ニュースレターと教育の重要性に気づかれた方も多いことでしょう。
ひとつ嬉しいお知らせがあります。
皆さんの仲間でも北陸のある老舗工務店から、ニュースレターの成功例の報告がありました!
先陣を切った営業の方には、その勇気を讃えたいと思います。
誠におめでとうございます!
このほかにも、読者の中には自分なりにニュースレターに挑戦し、手応えがで始めた方もいると思いますが、その方に共通するものがあるとすれば、それは文章に対する「天賦の才」です。
そして、神から与えらた才能は有意義に使う使命を、皆さんは授かっています。
そのことを、皆さんは片時も忘れてはいけません。
そして一度開花した才能は、必ず人生のいろんな場面でも活かされるでしょう。
また与えらた才能に胡座(あぐら)をかいてはいけません。更なる精進をお忘れなく。 そして、皆さまの健闘を陰ながら応援しております。
記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇
弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。
営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。
また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。