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専門コラム 第214話 住宅セールスは技術の営業

    

蒸し暑く、寝苦しい夜が続いておりますが、お元気でいらっしゃいますか。

実はいま、これを書いているのは 8月22日。暦上の秋の始まりを迎えましたが、いまだ残暑の厳しい毎日です。

皆さんの中にも、世間でいうお盆休み中でも展示場や見学会会場で、接客応対に、現場に出ている方もいたでしょう。

考えてみると、住宅セールス以外にも車のディーラーさん、店舗等で直接消費者と接する販売員の方も、皆がお休みの時が正に「稼ぎ時」です。自分もやってきたことですが、離れてみると本当に頭が下がります。

今回と次回のコラムでは、そんな住宅セールスとは一体どんな仕事かということに焦点を当てて、記事を書き進めてみたいと思います。

そして皆さま、引き続き、当コラムをご愛顧いただけると幸いです!

  

住宅セールスは技術の営業

1 BtoC の「住宅セールス」は新規開拓が何かと難しい?

 

まず「住宅セールスとはどんな仕事か」と聞かれて触れなければいけないこと。
それは、私たちの仕事は直接消費者と接する仕事ということです。

なので、冒頭でも言いましたが、皆が休めるときに休めない仕事です。
あなたがもしこの点にこだわりがある方なら、仕事選びの際、十分に考えておきましょう。

筆者は新卒で社会人になったときに住宅産業に勤務しました。ですからお休みの形態が普通の方と異なることに、何の違和感もありません。

ただ「この仕事、結構大変かも……」と思ったことはあります。
それは法人相手の営業と比べて、住宅営業は新規見込み客の開拓が圧倒的にやりにくいということです。

営業職の方ならご存じでしょうが、我々のように一般の個人を相手に仕事をする営業職を BtoC(Business to Customer)営業、
いっぽう、企業が企業に対してモノやサービスを提供する営業職を BtoB(Business to Business)営業と言います。

仮に展示場や見学会場を持たない住宅会社の場合——むかしは全国展開しているハウスメーカーでも、展示場を持たず営業しているところが結構ありました——新規顧客の開拓手段は、ほとんど個人宅に向けて飛び込み営業を強いられたもの。
これが BtoB 営業では、同じ条件で飛び込みをする場合でも、飛び込み先は大体が既存の取引先企業です。
どちらがラクか、営業経験者ならすぐ分かるでしょう。

現在は非効率過ぎるとの認識から、飛び込みをやらせない住宅会社も増えているようです。
ただそういう会社でも、はじめの一棟を飛び込みで受注させる会社もありますし、長く営業を続けていると、やむを得ず飛び込みをしなければいけない場面は多々あります。

個人的な意見を言わせていただくと、筆者も飛び込みはとくに必要とは思いません。しかし経験しておくとプラスになると感じます。
またどちらが、営業にとってラクかと言えば、BtoB 営業と答えると思います。

なおこのほかにも、BtoB 営業にはない BtoC 営業の厳しさがあります。
一概に比較はできません。ただ何かと難しさが付きまとうのが住宅セールスです。

   

2 住宅営業は技術的知識がモノを言う?

  

二つ目は記事のタイトルにもなっていますが、住宅セールスは「技術の営業」ということです。

なぜ「技術の営業」なのか?

この仕事で最初に気づくこと。
それは売り込むノウハウより、商品全般の知識が不可欠だということです。

建てたいお客さんを探すことは、必死になって飛び込みを続ければ、新人営業にもできます。しかし探し当てたお客さまに「うちで建てる」決心をしてもらうには、それ相応の「信頼感」が欠かせません。そのときに要るのが、経験や実感を織り交ぜた知識。これに優るものはありません。

そのためまともな会社はセールスが初めての営業に、必ず先輩社員が同行します。
ちなみに私の記念すべき一棟目は、当時の支店長の同行があって得たものです。

そして当然のことですが、私一人で住宅を受注するには、覚えなければいけないことが山ほどあることを自覚しました。またこう思えたことを、非常にラッキーなことと受けとめています(その理由は、この後に続くコラムで明らかにします)。

もちろん同じ住宅でも、規格型ローコスト系の住宅のなかには、知識を必要とせずとも売れることがあるかもしれません(ローコスト系の住宅を販売されている方へ。例えが不適切な点をどうかお許しください!)。
しかし注文住宅を売りこなすには、表面的な知識だけではどうしても押し切れない部分があります。

また営業に必要なのは建築に関する知識だけではありません。
資金計画についてファイナンスの知識も必要です。

こうして日中は主に担当エリアに飛び込んで建てるお客さまを探し、夕方以降はプラン訓練。
そして家に帰宅してからは、少しずつ知識をモノにするための勉強に明け暮れました。

建築学科卒の大手メーカーの営業ならいざ知らず、筆者は文系卒の全くの素人です。とくに私は経営学部で建築知識が皆無だったため、先輩に追いつくのに必死でした。

そういう経験から、住宅セールスは総じて知識がモノをいう仕事だと考えています。

   

3 決していいところばかりではない!

 

このほかにも、

  •                    個人の買い物で、もっとも金額が大きい
  •                    契約に至る期間が年単位に及ぶ案件もある

ことも、住宅セールス(とくに注文住宅)では普通のことですし、

その反面、

  •                    いろんな職種の方に出逢える
  •                    人生の成功者から感謝されるなど、

他の仕事では体験できないメリットがあるのもこの仕事の良いところです。

ただなかには、自分では一生懸命やっては見たものの、その結果建てた家に後悔される方がいるのも事実です。なかには新築後数年で、他社に建て替える方もいます。

そういう意味では、心がある程度タフな方でないと、この仕事は中々続かないかもしれません。

ただ自分を振り返ると、そういう負の側面がありながら、簡単に投げ出さなかったのは、人生の一時期とは言え、独学でも建築というものを学び、それを営業に役立てた経験があるからです。だから簡単に諦められませんでした。

まあ良い事ばかりではありませんが、この仕事で失敗した事、成功したことを、今年もコラムで皆さんと共有していきたいと思います。

 


 

コラムを少しでも長く続けていければと考えています。 引き続き、どうぞよろしくお願いします。

 

 

  

  

 

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。