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専門コラム 第209話 住宅会社にとって商品ラインナップとはどういうもの?

    

先回のコラムでは、住宅そのものが私たちの扱う商品であること。
また商品のコンセプトを決めてブラッシュアップしていくことが、真の集客につながることをお伝えしました。

はっきり言ってここが決まらないと、どんな綿密な計画も砂状の楼閣に帰してしまいます。

しかしながら、マーケティングで言っている自社商品の役目はこれでけではありません。
実は、商品にはラインナップという側面があります。

ただ新築住宅では、リピート購入という慣習がほとんどありません。
したがって商品ラインナップという考えはあまり根付きませんでした(というより、その必要がなかった)。

そこで今日のコラムでは、商品ラインナップとは一体何なのかということを、補足としてお伝えします。

(それゆえ、今回の記事はコラムというより、マーケティングの解説記事に近いかもしれません)

そして、その後に続くマーケティングの施策ということも、併せて示そうと思います。

  

住宅会社にとって商品ラインナップとはどういうもの?

1 商品ラインナップは住宅会社にも必要か?

 

前文でも触れましたが、マーケティングでいう商品には 2 つの側面があります。

それは「商品価値」と「ラインナップ」です。

「商品価値」とは、先回の記事でも登場する「コンセプト」とも置き換えられます。
では「ラインナップ」とは何を示しているのでしょうか?

例えばお店に並ぶ商品には、「集客商品(平台商品)」と「収益商品(店奥商品)」があります。

「集客商品」とはお客さまを店頭から店内に誘導する、また「収益商品」を売るために用意された商品のこと。
つまり一般的には価格は安く、利益率も薄い商品です。そのため、値下げした商品、また戦略的に用意した商品という場合もあります。

また「集客商品」のことを「フロントエンド商品」という言い方もします。

いっぽう「収益商品」とは、その店がいちばんに売りたい商品です。

なお、集客には想像以上にさまざまなコストが掛かります。
ですから「集客商品」ばかりが売れても、お店に利益はそんなに残りません。そこで値入れを十分確保した「収益商品」を売って、お店は利益を稼ぎます。

なお「収益商品」のことを「バックエンド商品」とも言います。

一般に「ラインナップ」と聞くと、品揃え、商品のバリエーションのことを想像します。しかしマーケティングでは品揃えのほかに、売り上げを作る意味も含んでいます。
つまり商品ラインナップとは、売る仕組みを動かすための商品構成とも言えます。それゆえマーケティングの観点からいうと、商品がお店の売上や利益に関係する重要なツールになります。

ただし、住宅のようにリピート構造を持たない業態では「ラインナップ」という概念が希薄となり、商品コンセプトだけで保っている会社もあります。ちなみに我々のような建築を主体としたスモールビジネスでは、商品ラインナップにまでアタマを悩ます必要はありません。

なお住宅業界で「集客商品」としてすぐ思いつくのは、分譲地などに展開した大手ハウスメーカーの建売住宅です。

ただこれをやれるのも、資金力が有する大手ハウスメーカーがほとんど。
スモールビジネスの地域の工務店には手が出ない戦略です。

また彼らが手掛けるシングルや新婚世帯向けの集合住宅も、将来の戸建需要に備えた一種のフロントエンド戦略と考えられます。

もちろん、ここも大手の独壇場ということに変わりありません。

   

2 関係性の構築といっても大手営業を侮るな!

  

というわけで、一般に商品ラインナップについては、住宅業界では大手、また中小でも不動産機能を有する会社に絞られそうです。

ただそのいっぽうで、商品コンセプトをしっかり組んでおくと、我々のようなスモールビジネスでも「お客を待たせるほど」の人気を博する工務店も生まれます。

これを可能にするのが柔軟でユニークな仕様と、人対人の関係性の構築です。
そして関係性の構築という言葉が出てきて、ようやくマーケティングの施策へと入っていきます。

一般に大手というのは資金力を武器に、テレビ・新聞等のマスメディア広告を活用します。
それに対して、我々スモールビジネスは大手が使わない手を使います。

簡単に言うと「大手が使わない手」とは、ダイレクトレスポンスマーケティング由来のテキストやレター戦略です。
端的には、本コラムでもお馴染みの、サンキューレターやニュースレター等の活用です。

ただ大手だからと言って、関係性の構築が不得意なわけではありません。
むしろ日本でニュースレターを最初に扱ったのは、おそらく大手のトップ営業でしょう。

またここ 1、2 年で、大手の中でも営業レターというものを見直す動きも出ています。
素直に言えば、ダイレクトレスポンスマーケティングについても、大手や大手出身の営業マンが、詳しい方が多いのではないでしょうか。

そのためこのコラムでも、少し煩いぐらいにレターの活用を呼びかけているぐらいです。

   

3 私たちの仕事はたえずメッセージを届けること

 

ただマーケティングというと、たしかにフィードバックは多少面倒ですが、やることと言ったらシンプルです。

使うツールは様々あります。
ハードコピーのレターに始まり、ウェブサイト、ランディングページ、ブログ。
Twitter やインスタグラム、FB などの SNS。
そして LINE やメール等々……

これらを使って何をやっているかと言うと、我々は文章、メッセージを届けています。

もちろん、相手の心に届くメッセージを作ることは難しいことかもしれません。
でもやることは、いたって単純明快です。

そして仮にここで簡単に躓くようならどうするか? そうです。あらためて商品を見直してみることです。
案外、ここの詰めが甘いこと。それが集客力の弱い原因とも考えられます。

またこのことは、古い時代になるべく「見ないようにしてきた」ことではないでしょうか?
しかしながら、商品や会社のコンセプトは、そのぐらい重要なことです。

 

 

  

  

 

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。