専門コラム 第199話 営業もプランを作れた方が良いか?
この前の投稿で、ニュースレターの型式について言及しました。
そして記事では、営業マンの作るレターで「作りやすいのはワンテーマ型」と書きました。
その理由は、
というのも、私たちが携わる住宅業界は、
営業として覚えること、身に付けないといけないことが沢山あるからです。ただし必要に迫られて覚えたことは、全てニュースレターのテーマに使えます。
ここがワンテーマ型の良いところであり、NL初心者にもすすめやすい点です。
『営業におすすめのニュースレターの型式は?』より抜粋
と、しています。
ただ、皆さんの中には「資金計画については詳しくても、住宅の技術的な面には疎い」営業マンもいるだろうと思います。
コラムではそのような方が、融通無碍にニュースレターを書くための工夫をまとめています。
何かの参考になれば嬉しいです。
営業もプランを作れた方が良いか?
1 営業がプランに強くなると、自然と家の技術的な側面にも強くなる
住宅営業には、大きく分けて、2 パターンのタイプが存在します。
一つは家の技術的な面に強い営業。
もう一つは、家の技術的な面より資金計画が強いタイプです。
(もちろん両方とも強い営業マンもいます)
最初に勤めたハウスメーカーでは、
お客さまに出すプラン(間取り)も、営業が全て作らなければなりません。
ですから、先輩方に多かったのは前者を志向するタイプです———もちろん、家の技術的な面も資金面も、両方とも詳しい方が多かったと記憶しています。
ともかく、筆者ははじめのうち、この流れに抵抗しようと考えました。
「営業がプランも考えなければいけないのは、そもそもバカげている。第一そんな悠長なことを言っているヒマなんてあるのか?」
その当時、筆者は住宅を売ることとプランが書けることは、全く無関係と考えていました。しかし、その抵抗が無駄だとすぐ気づきます。
営業がプランを書けるようにするということは、「なるだけ」という感じではありません。まさに必須項目です。
少なくとも「〇〇ハウスで営業としてやっていくには、客前でプランを書けるぐらいのことができないと務まらない」
これはその当時、早朝訓練の際に、当番で講師役を務める先輩社員が話していたこと。
簡単に言うと、プラン作成は資金計画の計算ができるのと同じ。
何なら、資金計画の計算が多少遅くても、プランがスムーズに書けたほうが、むしろ営業として評価される、といった感じです。
この日を境に、プラン集をひたすらトレースする日々が始まります。
ただ営業がプランに強くなると、自然と家の技術的な側面にも強くなります。そしてこのことは、住宅営業に、大いにプラスとなって返ってきます。
だからというわけではありませんが、
〇〇ハウス出身の(少なくとも、筆者の時代までの)営業は、ごく自然に家の技術的な知識にも明るい。
それも相当深くまで勉強していた。
この違いを如実に知るのが、外部の営業マンと初めて関わった時です。
つまり、同業他社の営業を目の当たりにした時です。
「ふーん。住宅営業という仕事は、最初に思ったように、何も技術的な知識がなくても務まるのか……」
これがプラン訓練で鍛えられた営業が、最初に感じたことです。
2 営業が必要以上に、建物に詳しくなる必要はなくなった
ただ住宅業界も分業化(?)が否応なく進んでいます。
またお客さまご自身も、営業が出すプランに懐疑的な方も増えているとも聞きます。
ですから営業が必要以上に、建物に詳しくなる必要はありません。
そのぶん営業の他に、お金の知識に詳しくなれる担当が居ません。
その意味ではニュースレターも、専門知識の部分で、住宅の資金面に寄り添ったワンテーマ型のレターがあっても良いでしょう。
実際、資金計画や税法上の知識だけで、本が何冊も書けてしまうぐらい奥深さがあります。
資金やファイナンスの面に興味があれば、そちらの面でナンバーワンを目指す。
ただ、それだけではつまらないので、副次的に住宅の技術的な記事を差し込んでみたり、プライベートな話題にも触れてみる。
それだけでも、結構なボリュームのレターになります。
なお参考になるウェブサイトに、
以前このコラムでも取り上げた「住まい方研究所[1]」というページがあります。
「住まい方研究所」は、住宅ローンや家の売買になどについて興味深い施策が掲載され、ニュースレターの記事に相応しい新しい切り口が見つかります。ややマンション系の記事が多めですが、戸建住宅にも参考になる記事が作れるはずです。
また同じ「現代ビジネス」には、「マネー現代[2]」があり、こちらにもフィナンシャルプランナーなどの専門家が書いた住宅ローンに関する記事が並んでいます。
これらのページを参考に構成を組み立てることで、かなり読み応えのあるニュースレターが書けそうです。
他にもウェブには同様のページが見つかりますが、こちらも参考にされるといいでしょう。
[1] [住まい方研究所](https://gendai.ismedia.jp/list/theme/sumaikata)
[2] [マネー現代](https://gendai.ismedia.jp/money)
3 営業がプランを書く意味は無くなったか?
ではこの業界で、営業がプランを書く意味、あるいはメリットは全く無くなったのでしょうか?
筆者は引き続き、(そして密かに)営業がプランを書くメリットはあると考えています。
なぜなら住宅販売の本質は、間取りという架構を組み、これを売ることだと思うからです。
販売の本質に関われない営業なら、営業をやめたほうがいい。個人的にはそうまで思っています。
住宅の間取りを勉強し、書き方を訓練し出すと、自然と住宅の工事現場に足が向かうようになります。
そしてそれが職人を尊び、技術者を重んじる心が芽生え、延いては、お客さまに良い家を届ける心を育みます。
また自分達が建てた家を、次第に好きになります。
そして家を好きになると、その訳を知りたくなります。
木の住宅って何処が素晴らしいか? またどうして心が和むのか?
小さな子どもが昆虫や植物に興味を抱くのと同じです。
そして、土地や方位の特性をもとに間取りを作り、どうすると上下階の乗りが良く、生活しやすい間取りとなるか真剣に考える。
間取りは設計など、資格保持者が書かなくてはダメなら、お客さまに出すプランは設計社員に任せ、営業は勉強のために「お客さま出さない」プランを書いてもいいでしょう。
なお、資格保持者だけが優秀なプランナーではありません。
住宅の間取りは一級より二級建築士のほうが専門分野とも言えますし、こと間取りに関しては、資格保持者より逆に資格を持たない人が、優秀なプランナーのケースもあります。
これから住宅営業に挑戦しようという方。
営業もプランが書けるようにしておくと、仕事が何倍も楽しくなります。
(そしてできれば、二級建築士の資格取得を目指しましょう。)
筆者から言えることはそれだけです。
記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇
弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。
営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。
また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。