専門コラム 第169話 住宅のお客さまを動画チャンネル単体で集められるか?
ここ数年で明らかに変わったことは、情報を得るのに YouTube などの動画チャンネルを利用する機会が増えたということです。
その一番の理由は、プロや専門家の意見が得やすいということがあります。
一般のブログや情報サイトの情報は、専門家ではない、しかも素人のウェブライターを使って作らせたコンテンツがほとんど。
しかもこれらのサイトは、事実とそぐわない内容であることが多い……
もちろん YouTube などの動画チャンネルも、広告主があって提供されているサービスですから、一般のブログや情報サイトのような「捻じ曲げ」は発生します。
しかし一般のブログや情報サイトほどには、まだ傷んでいません。
また顔が見える分、それを見抜く判断も、動画チャンネルの方がつきやすいと言えます。
そんなことから人気の動画チャンネルを、ビジネスの集客の柱に据えようという人も多いと聞きます。
今回のコラムは、レター以外のコンテンツという視点で、動画チャンネルを取り上げてみます。
住宅のお客さまを動画チャンネル単体で集められるか?
1 動画チャンネル単体でお客さまを集めることの難しさ
ただ YouTube などの動画チャンネルを、4、5 年前ならいざ知らず、もはや流行りのムーブメントとして捉えることはできないでしょう。
しかし今からでも動画チャンネルを使って、自社の集客に活用できないか、考えている方はいると思います。
でもそれには注意点があります。
その注意点とは、動画チャンネル単体でお客さまを集めることは、年々難しくなっているということ。
普段見ている、あるマーケッターの方の動画があります。
そこに寄せられたメールから、あるクライアントが同じような失敗をしていました。
そのクライアントから、
集客の柱にすべく動画の投稿を始めて約 1 ヶ月。
しかし総視聴回数は伸びず、思うような反応はまだ得られていません。
良ければアドバイスをいただけないでしょうか?
との、メールが送られてきました。
そして師匠のマーケッターは驚きます。
なぜなら、コンテンツ自体の内容は丁寧に作られてはいますが、動画の本数が 7、8 本程度。
これでは幾ら内容が良くても、総視聴回数は伸びや具体的な反応を云々するレベルでは、全くないからです。
この方は、特にユーチューバーを目指してはいない方だと思うのです。
それにしても集客の柱にすべく動画の投稿を始めたわけです。
にしては、現在のペース――ひと月あたりで、7、8 本――では、集客増について、とてもおぼつかないことは、師匠に見せるまでもなく当然の話です。
多分のこの方も、何かの勘違いで、相談に乗ってもらおうとしたのだと思いますが、もちろん皆さんなら、この程度の間違いはしないでしょう。
2 ウェブ系のマーケティングは「量」が求められる世界
ただ、師匠の言葉を借りるなら、ビジネスジャンルの YouTube 動画でも、最低 100 コンテンツ上げなければ、また余程ラッキーな要因が働かなければ、視聴回数の伸びや反応が出ることは不可能でしょう。
しかも YouTube に進出する人の数は、日々鰻上りです。
そのうちブログサイト並みに、最低でも 200 コンテンツ以上あげなければ……なんて日も、近づいているかもしれません。
果たして皆さんも同じ苦労をして、動画チャンネルを集客の柱に据えたいでしょうか?
ウェブ系のマーケティングは、質はともかくとして、とにかく量が求められる世界です。
これは従来のウェブサイトやブログサイトだけではなく、動画サイトも同じです。
しかしその分、市場はワールドワイドに通じているのが、ウェブの最大の魅力です。
ただ我々がやろうとしていることは、商圏が限られている住宅建築という分野です。
よって、もっとスマートに、Google や YouTube を活用してもいいはずです。
またそうすることで、気まぐれなアルゴリズムの変動にも怯えず、商売を安定的に運営できます。
余談になりますが、ここに出てくるマーケッターも、YouTube やウェブサイトを活用していますが、一度アルゴリズムの変動にやられて以来、Google のシステムや SEO に捉われず、提供されるサービスを利用していると話しています。
3 我々の商売には、正しい家を正しい方法で建てられることのほうが大事!
何も YouTube がいけない、また危ないと言っているわけではありません。
ただ考えてみてください。
我々の商売は、どんなに詳しく Google のシステムや SEO の仕組みを理解しようと、正しい家を正しい方法で建てられなければ、お客さまから息の長い支持は得られません。
その意味では、今の時代に通じる正しい家を建てる技術こそ、何より重要です。
そして、正しい家を建築できる技術が整ったら、その家の良さを告知すべく YouTube を活用したり、ウェブ広告を使って集めたリストに対して教育を施したり、最終的にレター、もしくはランディングページで売る計画を考えることもできます。
この順序を逆にしていては、基礎工事を適当にして、あるいは建築図面をろくにチェックせず、家を建てているのと同じです。
しかし YouTube チャンネルのみに依存したやり方は、目新しいようでいて、私たちのビジネスにはそぐわない、難しい問題が横たわっています。
それでは、私たちのようなスモールビジネスが目指す、動画チャンネルの使い方にはどのようなものがあるでしょう。
次回はそのバリエーションについて考えてみましょう。
記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇
弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。
営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。
また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。