専門コラム 第165話 「建物の基本仕様や特徴をまとめたレター」のさまざまな使い方
以前に上げた記事に、ニュースレターを送る前、自己紹介のレターと「自社が提供する建物の基本仕様や特徴をまとめたレターも作っておきましょう」と書きました[1]。
そして同じ記事の中で、こういうふうにも書いています。
“まれに建物の基本仕様や特徴を、明確にできない会社もあるでしょう。
この場合は基本仕様のレターは、無理に作らないでも結構です――自己紹介のニュースレターだけでも構いません――”
ただし次のパラグラフで、このようにも続けています。
“ただ家の基本仕様が、業界の流れからみて明らかに遅れているような場合は、もう一度原点に戻って建物の仕様等を見直してみることをお勧めします。
その意味でこのレターは、会社の仕様を見直すチャンスが与えられたと思ってください”
自分で書いたコラムですが、読み返すとなかなか手厳しい見解を述べています。
本日のコラムは、以前から改めなければと思っていた「自社が提供する建物の基本仕様や特徴をまとめたレター」について、書いてみたいと思います。
[1] 『来場者フォローはニュースレターで十分!(2021年6月6日に投稿)』を参照
「建物の基本仕様や特徴をまとめたレター」のさまざまな使い方
1 「建物の基本仕様や特徴をまとめたレター」はお客様への貴重な“お土産”となる
率直に言って、この「建物の基本仕様や特徴をまとめたレター」は、初期段階でお客様に提示するレターでも、ナンバーワンに上げたいレターです。
特にこのコラムの読者は、地場工務店・ビルダーの方がほとんどだと思います。
そして多くの会社が、ウェブサイトのほかに、紙媒体のパンフレットを用意していないのではないでしょうか。
そのような場面で「建物の基本仕様や特徴をまとめたレター」は、会社のパンフレットに取って代わるもの。
営業としては、できれば用意しておきたいものです。
というのもそのようなレターは、営業がお客様宅をご挨拶に歩く際、貴重な“お土産”となるからです。
ただ「建物の基本仕様や特徴をまとめたレター」が作れない理由が、「家の基本仕様が、業界の流れからみて明らかに遅れているような場合」は、一応ペンディングをしておき、社内で話し合う機会を持ってみることを、あのコラムでは言っていたわけです。
考えてみればリーマンショックの頃までは、そのような住宅会社が多く存在したものです。
特に建物の基本仕様が不明確な会社の中には、「どうやって競合と伍して戦えという気か」というところも、正直ありました。
冒頭で示した引用文は、営業にとって不幸な会社が早く無くなればと願って、書いたと言っても良いでしょう。
2 「建物の基本仕様や特徴をまとめたレター」のメリット、あれこれ
愚痴のようなものはこのぐらいにして、あらためて「建物の基本仕様や特徴をまとめたレター」のメリットを挙げてみましょう。
- 基本仕様や特徴をまとめたレターがあると、仕様等をじっくり検討できる。
- イベント見学後も、住まいの特徴を思い出しやすい。
- アレンジしたものを、ウェブサイトの文章やセールスレターとして流用できる。
(1)についてですが、「建物の基本仕様や特徴をまとめたレター」は、ハウスメーカーのパンフレットの役目として機能します。
“たとえば、壁面の断熱材にはセルロースファイバーを使用しているとか、外壁の基本仕様は耐候性に秀でたガルバなどの金属系サイディングか左官仕上げが選択できるとか……”
上記は以前のコラムからの引用ですが、レターの紙面では、カテゴリ別に割り付け方式でまとめると良いのではないでしょうか。
(2)については、実際にやっていたことですが、専用の写真集を用意しておき、真剣に検討くださっているお客様には、その写真集を貸し出すということもできるでしょう。
(3)は「建物の基本仕様や特徴をまとめたレター」自体が一種のセールスレターですから、アレンジしたものを、見学会等、イベントへのお誘い文や、ウェブサイト、あるいは Facebook などの文章にも引用できます。
これ以外にも「建物の基本仕様や特徴をまとめたレター」は、さまざまな使い方が各自想像できるでしょう。
然るに、時間があれば、是非とも用意しておくことをおすすめします。
3 レターが用意できないのは、作ろうとしないだけ?
ではどうして本コラムが、ここまで力強く、基本仕様や特徴をまとめたレターをすすめるのでしょう?
その理由を分かりやすく示した例が、松尾設計室の動画チャンネルにあります。
YouTube でも人気の松尾設計室。
そのいちばん最初に投稿された動画[1]の冒頭部に、
あなたが自動車を購入する際、「クルマの冷暖房計画はお近くのオートバックスでやってください」と、ディーラーから言われたらどう思うでしょう……
というくだりがあります。
そしてこのように松尾氏は続けます。
通常、住宅というのはクルマの 10 倍くらいの値段がします。
かつ利用期間というのは 4、5 倍にもなります。
その住宅がクルマより遥かに劣る状況にあるという可笑しさを、改めてちゃんと考えていただければと思います
また過去のコラムに「無印良品の家」を取り上げた回[2]があります。
「無印良品の家」の場合は、レターではなくウェブサイト[3]になります。
ただここまで素人にも分かりやすく、建物の基本仕様や特徴をまとめた例を、あまり見たことがありません。
言葉が少な目で申し訳ないのですが、2 つの例から察していただければ、理由は自ずと判ると思います。
実は「建物の基本仕様や特徴をまとめたレター」に似たものを、ある工務店に勤務する20代の若者が、20 年近く前にニュースレター形式で作っていました――その頃はまだ、ニュースレター自体があまり作られていなかった時代です。
ですからレターが用意できないのは、作るのが面倒なだけで、作ろうとしないだけです――失礼な言い方をしてすみません。
でも皆さんは素人ではありません。立派なプロです。
度々繰り返しますが、せめて自分の工務店に必要だと感じた方は、実際に作ってみられると良いでしょう。
きっと他の営業マンも、その資料のことを欲しがることでしょう。
[1] [500社以上の工務店を指導して見えてきた工務店が出来てないことワースト5]
[2] 『無印良品の家が示す「教育」コンテンツとは』(2021年4月8日投稿)
記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇
弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。
営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。
また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。