専門コラム 第129話 ギャップが人を動かす!神田昌典氏の「PASONAの法則」とは?
『セールスレターの「6 フレーム」について【後編】』のなかで
ほかにも付随する情報はあります。
たとえばPASONA(パソナ)の法則などにも、今回触れるスペースはありませんでした。
これについては別の記事で、テーマを変えてお伝えできればと考えています。
と「PASONAの法則」についての予告を投げていました。
今回のコラム記事ではお約束したとおり、セールスレターの「PASONAの法則」について触れてみます。
「PASONAの法則」とは、海外のオリジナルではなく、このコラムでも何度となく登場している我が国稀代のマーケッター、神田昌典氏が考案したセールスライティング、コピーライティングの理論です。
ただし当の神田氏も、アメリカ発のセールスライティング、コピーライティングにもれなく大きな影響を受けています。
したがって前回に触れた「6 フレーム」とも似通ったところがあります。
そこでせっかくの機会に「PASONAの法則」と「6 フレーム」を同時にものにしてしまえば、一石二鳥ではないかと考えました。
また「PASONAの法則」のことが分かれば「6 フレーム」深く理解できるでしょう。
ギャップが人を動かす!神田昌典氏の「PASONAの法則」とは?
「PASONAの法則」と「6 フレーム」はどこか少し似ている?
あらためて「PASONAの法則」とは、売れるセールスレターを書く順番を示したものです。
またこの法則は、お客様の購買心理を人間の行動メカニズムに落としたライティングテクニックとしても有名なもの。
言葉だけ聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
<PASONAの法則>
1. P(problem)……問題の明確化
2. A(agitatison)……問題点の炙り立て
3. SO(solution)……解決策の提示[1]
4. N(narrow down)……絞り込み
5. A(action)……行動の呼びかけ
あらためてセールスレターの「6 フレーム」と並べてみると、「PASONAの法則」と「6 フレーム」はどこか似ていませんか?
<6 フレームとPASONAの法則の対比>
1. 書き出し(相手の痛みや悩みに気づき)=問題の明確化
2. 描写や説明(相手に共感する)=問題点の炙り立て
3. 動機や理由づけ(解決策の提案)=解決策の提示
4. 保証や証明(証言による根拠づけ・約束や権威性の提示)=解決策の提示
5. 決め手のひと言や不利益(読み手が損にならないオファーを強気で押す)=解決策の提示、絞り込み
6. 結び(購入や申し込みの手順を的確に伝える)=行動の呼びかけ
以上のようになります。
どちらも売れるレターを書くために考えられた法則です。
お互いに似て当然です。
大きな流れは「6 フレーム」でも説明しましたが、3 つに集約されます。
1)書き出しは「アイスブレイク」に徹し、そこから徐々にこちらのペースで文章を語っていきます。
2)そしてお客様が抱える悩みを解決する商材を、特典を付加して提案します。
3)レターの結びは、お客様が購入に困らないよう、購入や申込方法を伝えます。
普通に考えたら、これだけでモノが売れたら苦労はいりません。
これを売れるように具体的に示したのが「PASONAの法則」です。
[1] 新しいPASONAの法則では、(3)のSO(solution)が、S(solution)とO(offer)に分けられているようです。
人が行動を起こすのは、「不利益」や「デメリット」が飽和寸前まで膨らんだとき
詰まるところセールスレターとは、お客様に商品やサービスを買っていただくため、現金やクレジットカード、また家など不動産の購入では、住宅ローンを利用して決済を促すことです。
その際、顧客が何の躊躇もなく決済に進むには、「商品を買わないことで生じる不利益」をお客様に強く意識させることが必要条件となります。
したがって「6 フレーム」もそうですが、今回取り上げる「PASONAの法則」は、商品を買わないことで生じる不利益、また顧客が負うデメリットを強く意識させる理論なのです。
「PASONAの法則」の解説で、神田氏がよく使う言葉に「ギャップ」という文言があります。
「ギャップ」=商品を買わないことで生じる不利益(痛みや悩みが解決できない)、行動しないことで生じるデメリット、です。
別の言い方を用いれば、人が行動を起こすのは、「不利益」や「デメリット」が飽和寸前まで膨らんだとき、とも言えるでしょう。
「PASONAの法則」では、(3)のSO(solution)が、その「ギャップ」の部分を担うでしょうし、「6 フレーム」では(5)の「決め手のひと言や不利益(読み手が損にならないオファーを強気で押す)」がそれにあたります。
そして、これがある種「耐えられなくなった」ときこそ、セールスを仕掛けるタイミングです。
またそこに至るまで、言葉(または文字)で顧客の感情を揺らすのがセールスレターの役目です。
売れるセールスレターとは、顧客の思いを「先取り」して文章化すること
神田氏は当時、実践会のメンバーに向けたニュースレターで、ある相続支援センターの例を取り上げ、下記の場面を紹介しています。
……
• 悲しみのあまり相続手続きに関する適切な処置が遅れてしまったために、後々大変な不利益を受ける方が増えているからなのです。
• すぐに手続きをしなかったことによる不利益の一例を申し上げますと、……
• 状況が差し迫っている場合が多く、充分な対応ができないこともありました。
(神田氏が折に触れて紹介した名文です。)
こちらのレターが言っているのは、「当社の相続相談がいかに優れているか、相続相談を受けることがいかに重要か」ではありません。
相談を受けないことが「いかにあなたにとってデメリットになるのか」を表現しています。
セールスレターは、書き出し部分の「アイスブレイク」や問題の明確化ももちろん大事です。
しかしどんなに書き出し部分が優れていても、解決策として提示するベネフィットに、顧客が求めている共感や、ここで言う「ギャップ」が表現されていなければ、決済には中々進みません。
以上のことからセールスレターとは、『お客様が思っていることを「先取り」して文章で表現すること』と言ってもいいでしょう。
さらに、売れるセールスレターにするには、
期待と現実のギャップに「耐えれらなく」なるような言葉を、お客様が気付く前に投げてあげること
が絶対に必要です。
それが手紙や文章で表すのがセールスライティングで、語って伝えるのが売れるセールストークということになろうかと思います。
皆さんの健闘をいつも遠くから応援しています。