専門コラム 第46話 顧客からより多く「Yes」を引き出そう!
前回の記事で、日テレ系お昼の番組『ヒルナンデス』に、俳優として売り出し中の黒羽麻璃央さんと実演販売の名手レジェンド松下氏が登場した回の紹介をしました。
その中で松下氏は「売り急ぐと何故いけないか」を伝授します。
また松下氏は本編前半で、黒羽さんとSHELLYさんに「あるアドバイス」をします。
それがこの記事でも取り上げる「お客様からできるだけ多くYesを引き出す」ことです。
実際に売れる営業は、見込み客からより多く「Yes」を引き出すのが上手です。
顧客から「Yes」と言う返事を多く引き出すメリットは、どういう点にあるのでしょう。
顧客からより多く「Yes」を引き出そう!
質問(問い掛け)には「オープン」と「クローズ」の2種類がある
営業の世界で質問(問い掛け)とは、「オープン」と「クローズ」の2種類に分かれます。
「オープンクエスチョン」とは、相手がその質問に「自由に答えられる」質問です。
いっぽう「クローズドクエスチョン」とは、「Yes」「No」の2択、また限定された選択肢から答えを選ぶタイプの質問です。
そのため、より多く顧客から「Yes」を引き出すには、「クローズドクエスチョン」を効果的に実施することになります。
「クローズドクエスチョン」は、シンプルな答え方で済む質問です。
そこで実演販売を例にとると、
販売者:「このような頑固な汚れですが、ご家庭ではつい諦めてしまいがちではありませんか?」
お客様:「ええ。その通りです!」
販売者:「高温で焼き付けた時に生じる汚れもこんなに簡単に落とせます。こんなクリーナーなら、ご家庭に一つあれば重宝しそうですよね」
お客様:「そうですね!」
といった、簡単な問い掛けをしていきます。
レジェンド松下氏が黒羽さんに施したアドバイスとは、このようなシンプルな問い掛けを繰り返すことで会話のキャッチボールが生まれ、それが積み重なると顧客との間に絶妙な信頼感が生じることを言っています。
これは実演販売の場面に限らず、多くの営業で使える古典的なテクニックです。
「クローズドクエスチョン」のメリット・デメリット
このように顧客との距離を縮める効果がある「クローズドクエスチョン」ですが、もちろんメリット・デメリットもあります。
「クローズドクエスチョン」のメリットは上記のごとく、顧客との間に「会話のキャッチボール」が生まれる点です。
また営業の会話には「オープン」と「クローズ」の両方とも必要ですが、質問がシンプルな「クローズドクエスチョン」は、会話にリズムが生まれます。
さらに「Yes」という肯定的な同意文句を繰り返すことで、お客様を自然に購買(契約)に至りやすくさせます。
いっぽう「クローズドクエスチョン」のデメリットですが、質問と答えがシンプルな「クローズドクエスチョン」は、答える内容が得てして限定的になり、どちらかというとコンサルタント営業向きではありません。
コンサルタント営業とは、住宅・不動産や保険など、販売・営業過程が複雑で一般に難しいとされる商品を売るタイプの営業です。
またコンサルタント営業は、対象商品を購入することで、痛みや悩みなどを解決できるなどの特徴があります。
そして痛みや悩みがより複雑な場合は、抽象的な答えをより具体的な言葉に換える「オープンクエスチョン」の方が向きます。
そこで営業は「オープン」と「クローズ」の両方が使えるように、質問形態を使い分ける必要があります。いつも「クローズドクエスチョン」一辺倒でもダメと言うことです。
「クローズドクエスチョン」は見込み選別にも使われる
また営業にとって、「クローズドクエスチョン」「オープンクエスチョン」にはもう一つ大事な意味があります。それは見込み客を選別する(見切る)際の質問です。
この営業マン応援コラムを継続的に読んでくれている方は、すでにお気づきかと思いますが、営業には見込み客を選別する(見切る)場面が必ず出てきます。
その場面で使われるのは、質問や答えがシンプルな「クローズドクエスチョン」を使うのが正しいやり方です。
これを解説すると、記事を改めなければなりません。
そこで参考書籍を載せておきますので、興味のある方は読まれると良いでしょう。
タイトルは『売り込まなくても売れる −説得いらずの高確率セールス−』(ジャック・ワース、ニコラス・E・ルーベン共著、坂本希久子訳、神田昌典監修)です。
この本は神田昌典氏が「本をボロボロになるまで読んだ」という、「セールスに関する限り最強の本」と絶賛したことでも知られています。
翻訳本ということもあって、腑に落ちるまで確かに時間が掛かりますがおすすめです。