専門コラム 第38話 戦略的なセールスレター
第34話で「セールスレターに必要なツール」を紹介したのですが、記事の中で「戦略的なセールスレター」「営業色の強い文章」について改めて解説するとのお約束でした。
そこで、早速これを果たすべく、「戦略的なセールスレター」についてご紹介します。
「戦略的なセールスレター」は大切ではありますが、当コラムでは駆け出し営業マンに向けた応援コラムであるため、コピーライティングの知識等は割愛させていただきます。
そのため本記事は、参考程度で気軽に読んでいただけたらと思います。
(なお「戦略的なセールスレター」という表現は、通常のセールスレターと分けるため「筆者がつくり出した造語」ということを初めにお断りしておきます。)
「戦略的なセールスレター」「営業色の強い文章」を書くには
「戦略的なセールスレター」とは
そもそも「戦略的なセールスレター」とは何かというと、レターパッドで最低2枚程度、ものによっては数枚から10数枚にもなる比較的長いサイズのレターで、その内容は顧客を「教育する」ために考えました。
「教育する」と聞くと何やら大袈裟に聞こえます。
ただ、注文住宅という買い物は、個人の買い物の中でももっとも高額なもので、失敗しても容易に買い直すことはできません。
そういう「難しさ」を伝えることが「戦略的なセールスレター」の主な役割といえばいいでしょうか。
レターで「教育する」とは、大体そういう意味合いです。
またこのような長文のレターは「この手紙を出しても、何ら反応が得られなかった場合、短期客か中長期客かの判断の目安にもなる。」との考えが根底にあります。
つまりセールスレターにはお礼や感謝の意味を込めて書く通常のレターと、本記事にあるような「教育」や「見込み客の見切り」にも用いるレターの2種類があるということです。
「戦略的なセールスレター」はどんな種類がある?
前項で紹介した「注文住宅は難しい買い物」だとするレターは、現在も営業の間では、自分なりの言葉に置き換え、ブログなどで使っている方をたまに見かけます(まあ「注文住宅は難しい買い物」という切り口は、営業の間では一般的なものかもしれません)。
このほかにも、代表的な「戦略的なセールスレター」に「自己紹介の手紙」というものがあります。
これは、住宅セールスの神様とし名を馳せた株式会社リック代表丸山景右氏の自筆の営業ツール『自分史』を手紙に擬えたようなレターです。
その中身は生い立ちに始まり、小さなころはどんな少年期を過ごし、学生時代にはどんなスポーツ(あるいは趣味)に熱中したか、更になぜ住宅セールスを目指すようになったかにも言及したもの。
「戦略的なセールスレター」のなかでも、長文仕様のレターです。要は担当者としての営業マンの「為人(ひととなり)」を、具に示すというのが「自己紹介の手紙」です。
このほかにも会社の採用工法や販売体制(直接施工方式、代理店方式など)や、他社との違いなどをまとめた戦略的なレターも考えられます。
しかし暫くすると「戦略的なセールスレター」は徐々に時代とそぐわなくなり、次第に読んでもらうのも難しくなっていきます。
もちろん手書きの長文レターが読みにくいこともありますが、一番の理由はこの手のレターは営業色が強く出るからです。
「戦略的なセールスレター」が難しいのは、それが理由です。
セールスレター(手紙)はある意味で「諸刃の剣」
また「戦略的なセールスレター」は2通目、3通目に出す手紙です。
1通目のレターでわざわざ爽やかな印象を残しても、次のレターで営業色や売り込み臭が覗いたり、他社批判まで書かれたりすれば、勘のいいお客様には「この人、やっぱりそれだけの人なんだ」と足元を見られるでしょう。
住宅のお客様は、意外に営業マンの人間性を見透かしています。
そして何度も書いたことですがレターはある面で「諸刃の剣」です。
せっかく手紙でいい印象を残しても、次のレターでしくじると、あとで取り返しがつかないことになります。
このことはトークにも同じことが言えますが、手紙は手元に残るため尚更です。
ただ営業なのに「なぜ営業色を強く打ち出してはダメなのか」疑問に感じる方もいるでしょう。
これについては、また改めて記事化していきましょう。
ただそのことが理解できていれば、展示場やイベント来場以降あまり会えないお客様でも、筆力次第では人間関係を十分構築できます。
コピーライティングとはそういうものです。
手紙で顧客の心を掴むのは決して容易ではありません。
なぜなら「戦略的なセールスレター」には手紙を届ける絶妙な間、タイミングの良さも絡んできます。
そして何といっても、日本語を正しく書ける力が欠かせません。
それでもなお、さらに上を目指そうとする「向上心」がある方は、本物のコピーライティング力を身につけて欲しいものです。
セールスレターの技術を身につけると、住宅営業にとって重要な武器となり得るからです。