専門コラム 第37話 住宅営業と「働き方改革」
2018年に7月に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が成立し、2019年4月には働き方改革関連法案の一部が施行されました。
「働き方改革」とは、あえて一言で置き換えると
“労働生産性を改善するための最良の手段”
という表現が一番近いと思います。
先進国のなかでも、日本の労働生産性は極めて低いことは有名です。
つまりこれまで日本のサラリーマンは、少々乱暴な言い方をすれば、無駄な残業をすることで労働生産性を下げてきたともいえます。
しかし働き方改革が国を上げて推し進められると、たとえ営業といえども、もう無駄な残業など、次第にできなるでしょう(すでにそういう会社も増えています)。
当然ながら住宅営業も、これまでと違った働き方を選択しなければなりません。
住宅営業は「働き方改革」でワークバランスはどう保つ?
労働生産性が低いと何がいけない?
記事の冒頭、「働き方改革」とは「労働生産性を改善するための最良の手段」だと言いました。
しかし労働生産性が低いと何がいけないのか、いまひとつ腑に落ちない方もいるのではないでしょうか。
答えを端的に言いますと、労働力人口が減少していくことが確実な日本で「現在の国力」を維持していくには、何としても、一人あたりの労働生産性を上げなければいけません。
これが「労働生産性が低いと何がいけないのか」の答えです。
このように言われると、テレビの某討論番組等で、外国人から日本が「労働生産性が低い!」と非難される理由が分かるでしょう。
今の日本はある面で最先端を走っている国とも言えますが、実は最先端を走っているように見えるだけで、仕事の取り組み方について言えば全然そんな事はありません。
日本の労働生産性はバブル期の頃(20数年前)と、そう変わっていないのです。
特に営業職は、いまだに時代に合わないばかりか、無意味としか言いようのないスパルタ教育を叩き込んでいる会社もあると聞きます。
そうしたなか、住宅営業マンが真に効率的な営業スタイルに変革できるでしょうか。
社内にも営業マン自体にも、まだまだ超えなくていけない山がありそうです。
海外では主流と言われる「インサイドセールス」って一体何 ?
そんなか、欧米では「インサイドセールス」なるものが、浸透しているそうです。
「インサイドセールス」の対義語は「フィールドセールス」。
この言葉ですでにお分かりかと思いますが「インサイドセールス」とは、営業事務所内で懸命に打つテレアポなどを指すのではなく、通常は訪問面談することで可能と言われる見込み客との関係構築、ランクアップ業務をITシステム、またメールや電話等を使って行います。
特に顧客との移動距離が長いアメリカでは早くから「インサイドセールス」が根付き、2017年には約半数の割合で「インサイドセールス」が普及するだろうとされています。
しかし「インサイドセールス」と聞いても、そんなにめずらしいと思わないというのが正直な感想です。
なぜなら十数年前の日本でも、携帯や手紙などを使い、顧客との関係をコツコツと構築をしていた営業マンが存在していました。
それは自分のデスクに向かってではなく、自分の車の中という違いはあります。
それでもトップ営業ほど、端から無駄な訪問を止め、自分の車の中でより効率的な営業を進める手立てを打っていました。
ただ欧米では主流と言われる「インサイドセールス」が、日本でも欧米並みに浸透するかはまだ不透明です。
まず関連団体の頑固な反発があれば、それが容易に取り込めるとは思えませんし、少なくとも営業マンを雇用する地方の工務店では、まだ「フィールドセールス」がメインストリームだからです。
それでも今年あたりから、「インサイドセールス」をフォローするITシステムのCMを、テレビやネットで目にする機会が増えました。労働生産性ではまだまだ後進国に過ぎない日本で、「インサイドセールス」というものが正しく広まっていくことを希望します。
究極の「インサイドセールス」はニュースレター
ただ忘れてはいけません。
「インサイドセールス」を実行できるツールがまだほかにもあります。
それはニュースレターです。
ニュースレターの発行を営業マンに任せられる環境が整えば、営業活動がもっと効率良くなるでしょう。
ニュースレターを正しく使えば、契約を前提とした商談数だけではなく、成約数が増えることになるからです。
ニュースレターの反応を上げたければ、レターの良し悪しが分かるマーケッターやコンサルタントを選び、適切にブラッシュアップするのも一つです。
そして空いた時間を使って、クレームに繋がらない商品構成を社内で討論したり、アフターに時間を割いたりします。
ニュースレターを使った営業は、こうした副次的なメリットを会社にもたらします。
これは皆さん営業マンというより、経営に携わる方に考えてもらいたいことです。
なぜならニュースレターを自分で書ける営業マンは、いつまでも紹介も集まらない住宅会社に残っているとは限らないからです。
国や時代の要請で改革が進められている以上、より効率的な仕事への変革は一層求められるでしょう。
このことは、自社が「時代遅れ」の企業とならぬよう、経営トップにも分かっていただく必要があります。