専門コラム 第19話 営業引力の法則
営業引力の法則
この本の著者の五十棲 剛史氏は、長く船井総研にトップコンサルとして在籍した後、2018年にはiOfficeをスタートさせ、国内のスタートアップ企業などを手掛ける著名な経営コンサルタントです。
当然のこと、五十棲氏の本は経営者向けの書物が多くなりますが、彼の処女出版『営業引力の法則』は営業マン向けにも書かれてあり、私たちが読んでもとても興味深い営業本です。
しかもこの本が出版されてから20年が経過しようとしていますが、内容は決して古臭さを感じずに読めるでしょう。もちろん注文住宅の営業マンにも、おすすめできる内容です。
トップセールスの営業スタイルも大公開!
トップ営業はセールスするタイミングを外さない
個人的にはこの本の最初の部分(P72まで)は、繰り返し読みました。
何故ならトップ営業の営業スタイルを、『営業引力の法則』の前半では余すことなく伝えているからです。
内容は敢えて伏せておきますので、興味のある方は、実際に手に取って読んでみることをお勧めします。
たださわりだけ触れておくと、トップ営業は顧客がホットになっている瞬間を見逃さないということ。
つまりセールスするタイミングをトップ営業は大事にするのです。
逆に言うとトップ営業とばれる人は、ホットでない顧客を無理に追客はしません。
この本のP24のグラフの周辺の文面は、何度となく参考にしたことを覚えています。
提示した価値観に共感する顧客とだけ付き合う
またトップ営業は、自分が提示した価値観に共感する顧客とだけ付き合うのだとも述べています。
この考え方は、ある意味で「なんて我が侭な考え方なのか」と非難を呼びそうです。
ただ実際私たちは、「このお客様と契約したら、後でクレーム等に苦しむことになるだろう」という方とも、無理に契約する場合があります。
そしてこのイヤな予感は、案外と当たっている場合があります。
『営業引力の法則』の中では、商談に際してまずするべきなのは、価値観が合うか合わないかを見極めることだと言っています。
営業の現場を離れた今だから思うことは、こうした考えが決して間違ってはいないことです。
このことは営業チーム全員で、一度話し合ってみると良いかもしれません。
心こもった小冊子や手紙は最強の営業ツールになり得る
また読者の中には『営業引力の法則』を読んだ後、実際の営業の現場で、セールスレターや小冊子などの自作ツールを訪問セールスに活用し始めた方も多いのではないでしょうか。
特に『営業引力の法則』はレターや小冊子を推奨する本ではありませんが、心こもった小冊子や手紙は最強の営業ツールになり得ることを、例を挙げて紹介しています。
例えば、企業理念をリアルに伝える小冊子『地域新聞社物語』について(P118)や、『もうひとつの工夫』で断然目立つ!『私信』だけがお客さまを感動させる!(P151)などです。
住宅会社にはセールスレターをむしろ推奨する会社もあり、営業マンに会社で用意した複写便箋を持たされるところもあります。
そしてセンスの良い営業レターは、顧客からも歓迎されます。
また自分の身代わりとなり、時間に縛られず見込み客に伝えたいことを繰り返し語ってくれます。
本の後半では営業色がやや薄くなり、やはり経営コンサルが書いた本だということが分かります。
しかし『営業引力の法則』は、幾度となく断捨離しても、本棚に留まり続ける良書と思います。